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多摩美のゲスト講師としてブルボンヌさんをお招きします!(出演作映画上映も!)*追記あり [トーク]

私が非常勤講師をつとめている多摩美術大学で、ブルボンヌさんにゲストとして特別講義をしていただくことになりました。
2012年6月8日(金)1:00-2:30pm 芸術学棟311教室 です。
私が担当している授業のひとつ、「映像と身体 ジェンダー文化論」に来ていただく形です。(主催は、西嶋憲生教授の映像文化設計ゼミ)
タイトルは、「お呼びですか? 女装時代の虹かかる〜女装時代のミックスジェンダー」。

ここ数年、女装家さんたちのひとりとして、テレビで見かけることも多くなったブルボンヌさんですが、私は20ウン年前からの知り合いである立場を利用(?)しまして、ゲスト講義をお願いしました。

私はそもそも、「日本における一種の飛び道具としての女装について、『しょせんイロモノであって、そういう形で芸能の仕事をする人の職能を否定はしないけど、一般人ゲイの可視性や人権の獲得と直結するものじゃないし、むしろちょっとでも女っぽいところのあるゲイ当事者の子供がからかわれるモトになるんじゃないの』といった通り一遍の見解ではなく(この見解も一理あるとは思っているのですが)、もっと深く考えてみたいー」、とずっと思っていますので、ブルボンヌさんのお話が非常に楽しみです。
(「営業的楽しいトーク」のみではなく「批評的なお話」もしてください、とお願いしております)

平日の昼間ではありますが、外部からのご参加も歓迎ですので、是非どうぞ。
(万一、満員御礼の場合は席が足りない可能性があることのみ、ご了承ください)
ブルアーしゃ.jpg


多摩美の八王子キャンパス案内はこちら:
http://www.tamabi.ac.jp/prof/facilities/hachioji.htm

なお、当日夕方には、この特別講義の関連企画として、ブルボンヌさんも出演している映画『パブの中』を上映します。
この作品は、昨年も多摩美で上映しましたが、しばらく、東京近辺での上映予定もないようですので、見逃している方は是非この機会にどうぞ!
同作品の監督である松之木天辺さんが来てくださる予定ですので、質疑にもこたえてくださると思います。

6/8(金)4:30pm上映開始。会場:メディアルーム

映像作家であるのみならず、歌手、俳優、ダンサー、モデルでもある松之木天辺さんの公式サイトはこちら:
http://matsunokiteppen.com/

今回、ブルボンヌさんをゲストでお迎えすることになり、20ウン年前の「なれそめ」の頃や1990年代のことをよく思い出すんですが、最初に会った時は、ブルボンヌさんはまだ「ブルちゃん」のみで、「ボンヌ」がつく前でした。

当時、私は山本寛斎さんの会社に勤めていて、同期入社で、社内でもカミングアウトしていたMちゃんが、当時のブルちゃんの恋人であり、ゲイ(とレズビアン)向けパソ通の共同運営者であり、今にいたるまで同居人である人だったのです。当時はけっこうご近所に住んでいたこともあって、私のアイカタ(女子ですよ)もまじえて2カップルで遊びにいったこともありました。
パソ通「UC-GALOP」に参加した時も、自分たちではパソコンのモデム設定などがおぼつかないので、近所なのをいいことにMちゃんに設定に来てもらったりもしました。
「UC-GALOP」にお世話になったというゲイやレズビアンはとても多いと思いますが、私も「UC」を通して知りあった人たちの多くと今も友達づきあいが続いています。「UC」にはたくさんの「部屋」が設定されていて、女子は人数が少なかったこともあって女子のみの部屋がありましたし、その他は目的や趣味で分かれていて、私は主に「アート」の部屋に出入りしていました。
オフ会も盛んで、
*ゲイ、レズビアン、バイセクシャルなどの当事者が、まざって出会って遊ぶ場
*恋愛やハッテン目的とはまた別に、趣味別のサークル活動的な軸もあったので、学歴や職業などいろいろ、さらにはルックスも幅広く異なる人たちが友達になる場

として、ものすごく画期的でした。
それまでは、基本的に、たとえばゲイ男性とレズビアン女性は、たまたま個人的なつながりがなければ(それこそ、職場の同僚だとか学校の友達だとか)出会わないし、また、ルックスの方向性やレベルが著しく異なる人たちが一緒につるむ、ということも、バー・カルチャーでは基本的になかったんですよね。

私自身、「UC」以前の友人関係は、
1.雑誌『月光』の文通欄で知りあった人たち
2.職場の先輩女子が、「みぞちゃん、同性愛かもしれないって思ってるんだったら、わたしの専門学校時代の友達のゲイに紹介するね」といって紹介してくれた人たち

の二本立てでしたから。

(1の人脈で萩原まみさんと知りあっていたことがきっかけで、1990年代半ばからは、レズビアンとバイセクシャル女性のためのミニコミ『LABRYS』(ラブリス)や、現在も東京、中野にあるコミュニティスペースLOUDの創設、また、レズビアン&ゲイ映画祭での通訳、翻訳ボランティアなど、レズビアンとしての活動をしていくことになったのですが)

ブル(ボンヌ)さんと知りあった当時は携帯電話なんかない時代だったので、会社の電話で少々の私用電話をかけることは黙認されてはいたんですが…そうじゃないと、いちいち、席をたって公衆電話まで行かないといけないので…、「ランチ一緒に行かない?」と部署が違ったMちゃんを誘いに行くと、ちょうど電話中で、「ちょっとアンタ、まだ寝てたの? さっさと起きなさい。今日は大学行くんでしょ?」とかいって、ブルちゃんを叱っているところによく遭遇しました。
今から思えば、ゲイだとカミングアウトしていただけでなく、そんな電話を堂々としていたMちゃんってスゴかったかも……。
そして、そんなふうにおばちゃん風味のソフトおねえ言葉でのびのび仕事をしていたMちゃんを、同僚たちが、「ばあちゃん」とか「ねえさん」ではなく、なぜか「じいちゃん」というニックネームで呼んでいた、というねじれが面白いんですよねぇ。
さらには、忘れようにも忘れられませんが、ある日、同僚のノンケ男子(異性愛男性)がすごいイキオイで、「みぞやん! 知ってた?」って言うので何かと思ったら、「じいちゃんって、ベッドでは受け身側じゃなくてタチなんだって!!」と…(用語が「受け身」だったか「ネコ」だったかまでは記憶が定かでありませんが)。
そう、ノンケ男子の理解力においては、女っぽくしているゲイ男性は、セックスでもイコール、「女役」であると思い込んでいるんだ、ということを私が学んだ瞬間でした。(そして、そうじゃないと判明したときにそれほど大騒ぎするもんなんだ、と)

装いや振る舞いが「女性的」になったとたんに、全面的な「女(役)」として認識され、それゆえに「男同士」ステージから外れる、だからこそ異性愛男性たちは「オネエキャラ」や「女装家」にとても寛容になるのでしょうか。(女性の場合は、ちょっと違って、「男」なのに「女」に下りて来てくれている、と、誤解も含めて、認識している方が多いように思いますが)

だとしたら、「ブルボンヌ」としてメディアに出る時はキレイモード系の女装をしているけれど、「女装していない時はちょっとこぎれいでしわっぽい40才のゲイよ」とか「女装の仕事の頻度が上がってから、普段のゲイの時は、むしろオラオラ度が増して、マッチョなアニキを掘ってるのよ」といった意味の「性的に活発なゲイ男性でもある」ことを様々に発信しているブルボンヌさんの存在がじわじわ浸透していくことって、なにげにエポックなのではないか、とも思ったりしつつ。

もちろん! もとはといえば美輪明宏さんだって、当時の芸能界のタブーをやぶってゲイとしてカミングアウトしたころは、女装やメイクをしてはいても「美青年」でもあったので、多大なインパクトがあったはずですが、昨今はどうやら性別を超越しきったナニモノかとして一般的には認知されていると思いますし……マツコ・デラックスさんも、体型が特別なので、また違うし、ミッツ・マングローブさんは、人前に出る時はドレス系女装じゃなくても女装はしているそうですし。(私が、ブルボンヌさんのCAMPY! BARでお見かけしたミッツさんの私服ジージャン姿は、バラエティ出演時のピーターさんのそれと路線が似ていました。メイクもばっちりされているように見えました)

(ちなみに、ファッション業界というと、「アーティスティックでオシャレなゲイが多そう」というイメージがあるかもしれませんが、寛斎さんの会社は、全体としてはきわめて「ノンケ男子的」、「体育会」なノリでした。Mちゃんは孤高の存在。私自身は、まだカミングアウトするほど自分がレズビアンだと確信を持てていなかったのですが〜そんな時代もありました!(笑)〜、何かのおりに、何度か、寛斎さんから「君からは男の匂いがしない」というようなコメントをもらいまして、「ひえー、さすがの嗅覚!」と内心、おそれいっておりました。あ、私は社内で唯一、通訳ができる英語力があったため、それこそミック・ジャガーとの会食の場も含めて頻繁に通訳として使っていただいたため、直接接する機会が多かったのでした)

と、あれこれととめどもなく長文になってしまいましたが、たまには。

追記 ブルボンヌさんの特別講義、すばらしかったー! 楽しいことは間違いないとは思っていましたが、期待をはるかに越える経験でした。 「LGBTやオネエの様々について学ぶ」「プロの女装(?)のスペクタクルな話術にエンターテインされる」が両立していたのはもちろんのこと、何よりすごいと思ったのは、そういう次元をするっと越えて、自分に少しでもマイナーなところがある、と、感じてたことのある聞き手全員が、ブルちゃんの存在と有機的に一緒になって、ほんとに具体的にみんな全員、ベターな虹色の将来に向かっていくんだよ」っていうような、言葉にするとダサイんですけども、そういう瞬間があったこと。 そこまでもっていくには、楽しい話だけではなくて、マイノリティの傷や痛みのこともちゃんと伝えないといけないけれど、通常のモードだと聞き手にとって負担になってしまう。それを、負担を感じさせず、しかし、きっちりとエンターテインメントとスペクタクルのままに伝えきる話術。これって、テレビ出演でもある程度はありえますが、やはり、90分というまとまった時間、適宜学生に話をふってくれたりする双方向的なトークであり、テレビ的しばりのない「毒」の含有率の高い内容でもあったからこそ、だと思います。 きっちり講義っぽいプレゼンファイルを用意してくれての、知的な講義らしさと、適宜繰り出される下半身ネタなど下世話ギリギリ、と、異なるモードが縦横無尽に入り乱れるからこそ!  ブルボンヌさんの女装講義のポテンシャルは、はかりしれません。 どうやら、今後も大学での講義や講演を積極的にやっていくおつもりのようなので、ご興味のある教員の方々は、依頼なさってはいかがでしょうか。(そしてもしその企画が外部参加もOKであれば、私も行きたいです〜)

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