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SKIPシティ Dシネマ映画祭 [映画]

SKIPシティ Dシネマ映画祭開催中です。(2016 7/16~24)

通訳をつとめさせてもらうようになってもう10年近いような気がします。
今年は、前半だけなので、実はもう自分の出番は終わってしまいましたが、映画祭はまだ6日間あり、すべてのコンペ作品がもう1回、上映があるので、個人的なオススメを書いておきます。
といっても、そもそも見た作品が半分もないので、偏っていますが。

*長編コンペ部門『アヒルからの贈り物』(Birds of Passage)ベルギー&フランス制作
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 「障害のある子供」「動物(アヒルの子)」という、それだけきくと、「泣ける映画!」っぽいんですが、全然そんなことなく、「自然に」じんわり感動させられる作品。それがなぜなんだろうと思って見た2回目(通訳準備としてスクリーナーを見たのが1回目)で、いくつかわかったことは、
「キャラクターの内面を直接見せるようなモノローグやそれ的な表現がない(クロースアップはあるけど、いかにも、悲しい時に悲しい芝居をさせてそれを、現実の生活のなかでのタイミングよりも長めに映す、ような演出がなく、常に、実際にまわりの人に見えているように観客にも見えるという演出)」
「キャラクターが何かを思いついて、Aさんに頼みに行って、Bを迎えに行ってC地点に向かう、だとすると、思いつくところは省略、頼みに行くところはあるけど車出して、というセリフだけで何のために誰とどこに行って何をしたいから車を出して、という説明は省略、といったように、ギリギリ、何がおこっているかは見ていてわかるけれどもその動機の詳細や交渉の詳細などは観客が常に想像で補完することが求められる。それによって、一般的には感動ものアイコンである”障害のある女の子”をイメージとして消費することが難しくなり、等身大で目撃させられる感じとなる」
「キャラの感情がたかぶったクロースアップのようなセンチメンタルな場面も少しはあるが、必ず、非常に短時間でカットされ、脇役によるユーモラスなシーンにつながるなどのコントラストも多い。おセンチ気分にひたれない作り」
最近、「何whatが描かれているか」ではなくて「どうhow描かれているか」がポイントだ、ということをますます考えていて、さらに、先日、マンガ家の中村明日美子さんとの対談(「BL進化論 対話編」)で、「キャラクターに見えているものしか描きたくない。だからモノローグは使わない」というお話をきいて、そうか! と思ったこともあって、この映画を、1回目はスクリーナー、問題意識を持った2回目は大画面で見ることができて、分析のとっかかりをつかめたのはとてもタイムリーでした。
やっぱり問題は「how」だ! 
いっこだけ文句があるのは、最初のほうで主人公と障害のある子がスカイプとスマホでやりとりしているんですが、アヒルちゃんを湖に連れていく道行ではどちらの子もスマホを持っていなくて、公衆電話でコレクトコールしたり、通りすがりのつりのおじさんの携帯を借りたりしているんですが、スマホはどうしたのかなあ。
まあ、どんなフィクションにも「ウソ」「ゆがみ」はあるものですが、この作品においては、それが「都合よく消えたスマホ」なんでしょうね。スマホを親にとりあげられる描写、をちらっと入れれば解決しますが、上記のように行動の段取りをすごく省略するルールで成り立っている作品なので、ちらっとでも説明を入れるとリズムが狂ってしまうから、無理があるほうを選んだのかもしれない、とも思ったりしつつ。

*短編部門3より 『テイク8』
上田慎一郎監督 芹沢興人(せりざわたてと)主演 19分
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結婚式場を舞台に描くワン・シチュエーション・コメディ。
あらすじ的には「ふーん」っていうようなもので、とくに新鮮味はないのですが、すべてが丁寧にかみあっている職人芸というか、何度も笑ってしまいました。演技も、主演だけではなく、助監督役の人とか全員のアンサンブル感も素晴らしい。

*アニメーション部門 
『こんぷれっくすxコンプレックス』ふくだみゆき監督 24分
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脇毛フェチの女子中学生が主人公。がんばれ「変態」! 技術的には、声優の芝居を録音してから絵をあわせる作り方だそうです。なにげにブルース・リーのタイムレス感というか、賞味期限が永遠にある感にも感動しました。

『MASTER BLASTER』冠木佐和子監督 4分
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お尻の穴から女の子が生まれたり増殖したり。と、書くとエロそうですが、写実的ではない絵柄なせいか、むしろ初期切り絵アニメ的な変形増殖を描く喜びみたいなものと、そしてもちろん草間彌生の無限ドット的なことを感じさせます。

http://www.skipcity-dcf.jp
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